国民の祝日とは？どんな法律で決まるのか

毎月カレンダーで日曜以外の赤色の日付を真っ先に確認しませんか？

それは国民の祝日ですね。「建国記念の日」や「春分の日」など1年を通して色々なものがあります。ところで、これらの祝日はどうやって制定されているかご存知でしょうか？

なんと、祝日を決めるための法律があるのです。どんな事が書かれているのか気になりましたので、調査してまとめました。

今回は、国民の祝日とは何か？どのように制定されているかを中心にお伝えします。

国民の祝日とは

国民の祝日とは、例えば、「元旦」や、「春分の日」などの祝日のことです。

これらは「国民の祝日に関する法律」、略して「祝日法」に基づいて制定されます。
その祝日法には何が書かれているのか見てみましょう。

国民の祝日に関する法律

国民の祝日に関する法律（昭和２３年法律第１７８号）　　最終改正 平成17年5月20日法律第43号　　平成19年1月1日施行

第1条

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるため、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

第2条

「国民の祝日」を次のように定める。

第3条

「国民の祝日」は、休日とする。

2.「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。

3.その前日及び翌日が「国民の祝日」である日（「国民の祝日」でない日に限る。）は、休日とする。

附則

（省略）

内閣府HPより引用： http://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html

すなわち、

祝日法を要約すると、次のようになります。

第1条：
国民こぞって祝い、感謝し、記念する日を定め、これを国民の日と名付ける。
つまり、「国民みんなが喜んで祝える日」が国民の祝日になるという事

第2条：
国民の祝日一覧とその祝日の定義

第3条：
国民の祝日は休日とする。
祝日が日曜の時はその後の一番近い平日が休日になる。（振替休日の規定）
祝日に挟まれた平日は休日になる。（国民の休日の規定）

振替休日と国民の休日について

第3条の「振替休日」と「国民の休日」の規定についてご説明します。

「振替休日」という言葉は祝日法には明記されていませんが、祝日が日曜だったら、そのあとの一番近い平日が、休日になることです。

例えば、5月3日（祝日）が日曜の場合、こともの日まで祝日のため、一番近い平日である6日が振替休日となります。

「国民の休日」という言葉も祝日法には明記されてはいませんが、祝日に挟まれた平日が休日になることです。

例えば、9月21日が敬老の日で、23日が春分の日で祝日です。その間に挟まれた、平日の22日は休日に変わるのです。オセロのようなイメージですね。ただし、休日にはなりますが、祝日とは呼びません。

法律が制定されたのは

祝日法が制定されたのは、1948年7月20日です。

それまでは、「休日二関スル件」という祝日に関する法律が大正時代からありました。これを廃止させて、新しく作られたのが現在の祝日法です。祝日法は当時の国会によって制定されました。

「休日二関スル件」も「祝日法」も、どちらも祝日のための法律ですが、大きく違うのは、誰が、何のために、決めるかです。

「休日二関スル件」は天皇の命令で制定されていましたが、「祝日法」は国会で制定されます。「休日ニ関スル件」は天皇による天皇のためのもの、という考え方でした。

一方、「国民の祝日」は国民の自由と平和のための国民全体のもの、という考え方です。

終戦後、天皇は日本の象徴であり、国民が主権であるという憲法の規定に伴い、より自由で豊かな国に発展させていこうとしたのでしょう。

建国記念の日は違う法律

祝日は、祝日法に基づいて制定されますが、2月11日の建国記念の日だけは例外です。

建国記念の日は、「祝日法」ではなく、「政令で定められた日」です。政令は、内閣で制定されるものです。一方、祝日法などの法律は、国会に法律案が提出され審議して制定されるものです。

建国記念の日が2月11日である由来は、初代天皇である神武天皇即位の日だったからです。

祝日法が制定される前は、「建国記念の日」の事を「建国記念日」と「の」が入らない名称でした。建国記念日は、「日本は建国された日ではない」という理由で、祝日法が制定された時に廃止されました。

しかし、その後の国会で、日本が建国された事を祝う日という意味にして、また2月11日は国民の祝日になりました。

春分の日と秋分の日の決められ方は？

「春分の日」と「秋分の日」は毎年違う日付になる事があります。

「春分の日」と「秋分の日」は、「暦要項（れきようこう）」といって、日本の国立天文台で計算された暦（こよみ・れき）をもとに、前年の2月1日に決められる特殊な祝日です。

つまり、「春分の日」と「秋分の日」は、地球の動きによって変わる珍しい祝日です。地球の動きは予測できるため、計算によって正確な日付を出して正式発表しているわけです。

新しい「山の日」に関して

2014年に祝日法の改正があり、新しく祝日に加わったのが「山の日」です。

8月11日が「山の日」と制定されましたが、実際の運用は、2016年からです。

「山の日」の定義は、「山に親しむ機会を得るため、山の恩恵を感謝する」ものです。

「山の日」が出来るまでには、様々な反対意見も出ていましたが、2013年に、衆議院議員が「山の日」制定議員連盟を設立して法案を提出し、2014年に「山の日」が制定されたのです。

まとめ

国民の祝日のまとめです。

・国民の祝日は、「国民の祝日に関する法律」に基づいて制定される
・「国民みんなが喜んで祝える日」である日が国民の祝日にされる
・祝日法第3条には、下記が書かれている
-祝日は休日にする
-振替休日の定義
-国民の休日の定義
・祝日法が制定されたのは、1948年7月20日
・建国記念日は、「祝日法」ではなく、「政令」で定められた日
・「春分の日」、「秋分の日」は毎年日付が変わる可能性がある珍しい祝日
・8月11日「山の日」があらたな祝日として制定され、2016年から運用開始される

いかがでしたでしょうか？

日本は祝日が多い国だと思いますが、祝日がいくらあっても、相変わらず忙しく働く、真面目な日本人の姿が頭に浮かびます。祝日の定義の通りに、ゆっくり過ごせる日が来ることを期待しています。